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小人堂の気まぐれな覚え書 (画像はクリックすると大きくなります)
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2007年2月23日(金)
午前 ドゥカーレ宮殿見学
午後 メストレへ
夜   ヴェネツィア散歩

3日目にしてやっと、ヴェネツィアを楽しんだ。

<訂正>
上の画像の文中には駅~ホテルまで1時間半かかったとありますが、
家人によれば正しくは2時間近くとのことでした。

「元首についている六人の補佐官」も「六人の元首補佐官」の間違いです。


※5月中に終わるはずだったイタリア旅行記はまだ続いてたりします。
 パソコンのトラブルで、書いたはずのものが何度か消えて
 私のやる気も消えていたから。
 というわけで、興味のない方ごめんなさい。
 多分、来月には話題が変わっていると思います。




ヴェネツィア滞在3日目。
ゆっくりヴェネツィア滞在のはずなのに、今日も早起きだ。
何故なら、昨日、ドゥカーレ宮殿のシークレットツアーを申し込んだから。
家人の断りもなしに、10時スタートを選んだのは私だ。
朝一番の方が、その後の時間を有効に使えると思ったんだもん。
ホテルからドゥカーレ宮殿までは徒歩1分とかからない。
楽勝だろう。
って、相変わらず自分のことしか考えていないのである。

既にフェラーラでオタクの限りを尽くしたので、以降はゆっくり観光、
1日1名所を誓う。
7年前も詰め込むだけ詰め込んで美術館やら教会やらに行ったのだが
家人ときたら何一つ覚えちゃいないんだもん。
詰め込みすぎは良くないと、流石に悟った。
というわけで、今日の観光はドゥカーレ宮殿のみ。
後は適当に散策する予定である。

前日歩きすぎで疲れていて、早起きができるのか心配であったが、
6時前には起床していた。
さっさと身支度をすませ、ロビーに降りて新聞を読む。
適当に内容が分かって嬉しい。

チェックインの時いたフロントの兄ちゃんと再会。
「何か困ったことはないかい?」
と聞かれたのをいいことに、分からないイタリア語について聞く。
辞書を引けばすぐなんだろうけど、面倒くさくってさ。
分からない言葉をいくつか書き留めていたのだ。
誰もいないフロントでイタリア語教室開催である。
日本で学習していたときよりも真剣だ。
メモなんか取ってないけど、ちゃんと頭に入るから不思議。
ついでに、便利な質問の仕方も習得する。
兄ちゃん、嫌がらずに教えてくれてありがとう~。

部屋に戻って、家人をたたき起こし、朝食をとる。
入り口で「部屋番号は」と聞かれ
「何号室だっけ」と言っている間に家人が英語で答えていた。
ちっ。私が答えようと思っていたのにさ。
3日もいるのに、まだ部屋番号すら覚えていないことを呆れられる。
席に着くと「コーヒー、紅茶、チョッコラータのどれにしますか?」
と、お決まりの質問をされる。
コーヒーは既に飲んでいたので、紅茶を頼む。
ティーポットにティーバッグが突っ込まれたものが出てきた。
まずくはないが、うまくもない。
コーヒーはめちゃめちゃ美味しいのに。ああ、大失敗。

食べ物が並んだテーブルの上には、冷たい飲み物も置いてある。
水、牛乳は却下。でも、赤い液体が気になる。
注ごうかどうしようか迷っていたら、給仕の兄ちゃんに声をかけられる。
「これは何ですか?」と聞けば
「素晴らしく、信じられないくらい美味しいオレンジジュースです」と返ってくる。
朝からオレンジジュースか。どうも私の食生活には馴染まないな。
酸味がある飲み物が苦手なのだ。甘ければ甘いでイヤだしさ。
「ありがとう」とだけ答えて注がないでいたら
「凄く美味しいんだ。試してみるべきだ」とすすめられる。
注がないではいられない雰囲気だ。
家人にでも飲ませるか(ヒドイ)、ということで、ちょっとだけ注いで席に戻る。
進められたオレンジジュースを一口飲んでみたら、案の定酸っぱい。
そのまま家人に押し付ける。
家人はオレンジジュース大好きなのだ。問題ない。
「このオレンジジュース、信じられないくらいおいしい」と、どこかで聞いたような反応。
それは、良かった。

デザートを取りに、再び席を立つ。
デザートの前に、先ほどの兄ちゃんがいて
「オレンジジュースは美味しかっただろう」と聞かれる。
「ごめんなさい。私はあまり好きじゃない」と答えると、
「何でなんだ。凄く美味しいジュースなのに」と、不満顔である。
「でも、家人は大好きで、もっと飲みたいと言っていたわ」と続けると
「そうだろう。これは凄くうまいんだ」と満面の笑みを見せてくれる。
家人のおかげで事なきを得たのだった。

それにしても、朝ごはんはうまい。
パンも肉もチーズもデザートも、昨日とは違う種類のものが出ていた。
新しいものをみたら、食べたくなるじゃないか。
畜生め、全部うまい(肉は食べてないけどさ)。
特にデザート。朝から、こんなにうまくていいのか?!っちゅうくらいうまい。
りんごの丸焼きなんて信じられないくらいうまいんだ。
そっけない作りのパンナコッタだって、本場の味って感じだ。
そんな訳で、今日も朝から食べすぎである。

満腹の腹をかかえ、ついにやってきた、ドゥカーレ宮殿。
って、ホテルから徒歩1分もかかってないけど。
チケット売り場で予約用紙を提出し、発券してもらう。
チケットを持って入場、したはいいのだけど、ツアーの集合場所が分からない。
どこに行けばいいんだ?
仕方がないので、入り口まで戻り場所を聞く。
イタリア語で聞いたのに、訛りのきつい英語で返事をくれる。分からん。
「もう一度言ってください」とイタリア語でお願いしてみる。
すると「(イタリア語を)話すのか?」ときた。
「少しだけ。でも、あまり上手くないから、ゆっくり喋って欲しい」と言ったにもかかわらず
早口でまくし立てられる。だから、そんな早口は聞き取れないんだって・・・。
めげずに「もう一度、もっとゆっくり教えてください」とお願いする。
先ほどとあまり変わらないスピードで答えてくれる。
が、流石に3度目なので、何とか分かる。
入場券と共に渡された赤いシールをコートの上に貼るように言われたのも分かった。
で、指示された場所に行った。集合場所をしめす小さな看板を発見。ホッ。
しかし、それらしき人は誰もいない。あと10分でツアー始まっちゃうんだけど・・・。
もしかして、イタリア語を聞き取れてなかったのかしら。
それともイタリア時間なのかしら。

5分後、コートの上に赤いシールを貼った人がパラパラと集まり始める。
やっぱり、イタリア時間なのか。
いや「英語ガイド」のツアーだから、欧州時間と言うべきなのか。
そう、家人にも分かるように、英語のツアーに参加なのだ。
協力して意味を理解したくてさ(要は他力本願)。
10時をちょっと過ぎた頃に、ガイドのお姉さん登場。
小柄なイタリア女性である。
私と背が殆ど変わらないのだ。妙に親近感がわく。
自己紹介もそこそこに、いきなりツアースタート。
説明を交えながら、まずは中庭の井戸と儀式用の階段を見学する。
ここは誰でも見学できる場所である。
だから、どういったものなのか理解はしているんだけれども、
英語が、英語がさっぱり分からん!
家人の顔を見たら、もっと分かっていない様子だ。
それもそのはず、説明に使われる単語が特殊なのだ。
何せ歴史用語がいっぱいだもの。
普通の生活をする上では、ちっとも役に立たない単語の嵐である。
仕方がないので、移動中、聞き取れたわずかばかりの単語と乏しい知識とを
あわせて類推し、大雑把に説明する。
家人、ようやく納得(したかどうかは不明)。
予想はしていたが、西洋人の群れに放たれた、日本人2名である。
私ら以外はみんな英語が分かってるのだ。
その彼らにしても、専門的(?)な説明にちょっと飽き気味である。
家人よ、大丈夫か。はぁ~、先が思いやられる。

見学者一向は一列に並んで、建物の中に潜入する。
3階の一般見学ルートとは反対の大きな扉の向こうに、ヴェネツィア共和国の
秘密の世界が広がっているのだ。
大きな扉なのに、中に入るといきなり天井が低く狭い。
全員が入ったところで、ガイドのお姉さんは施錠する。
ああ、秘密の世界だわ。
何て感慨に耽っている場合ではない。
秘密の世界には、訳の分からん英単語で満ち溢れているのだ。
ますます専門用語のオンパレードだ。
これがイタリア語なら、もう少し理解できたかもしれない。
日本の西洋史は原語主義なので、英語で説明されるより馴染みがあるのだ。
どうせ分からんのだったら、何故イタリア語のツアーを選択しなかったのか・・・。
後悔している場合ではない。ちょっとでも聞き取らなきゃ。
で、注意深く聞いていると「6」とか「10」とか「40」とか聞こえてくる。
数字だけ分かったところでどうするんだ、と、思われるかもしれない。
だが、多分、6とは「6人の元首補佐官」で、10とは「十人委員会」、
40は「四十人委員会」と類推される。
それが分かれば、後は芋づる式に分かる。
何故かって?
それは、直前に塩野七生の『海の都の物語』を読んでいたからである。
読んでから数日しかたっていないのだ。記憶鮮明だ。
ああ、読んでいて良かった塩野七生。
この本を読んだことで、学生時代に色々と調べたヴェネツィアの記憶も蘇っていた。
そんな訳で、さも英語を聞き取ったかのような振りをして、家人に説明したのであった。
オタクの面目躍如である。

が、すぐにオタクの権威なんぞは失墜する。
何故なら、このツアーに参加した主たる目的は、秘密の執務室見学ではないからだ。
ジャコモ・カサノヴァ様が入れられていた牢獄を見ることが目的なのだ。
訳あってカサノヴァ様が好きなんである。
思わず様をつけちゃうくらい、好きなのよ。
理由はあまりにもくだらないから言えないけれど。兎に角、好きなの。
なので、当然、カサノヴァ様が入れられていた牢獄でスパーク。
ここに到達するまでに、外人軍団は既にだれていた。
だって、説明長いんだもん。おまけに狭くて暗いしさ。
が、私は何とか聞き取ろうと、お姉さんの口元に釘付け。
もう、二人の世界か?!ってな雰囲気が漂っていたらしい・・・。
ただでさえ暑苦しくなっているのに、カサノヴァ様についガイドのお姉さんに質問攻め。
英語が分からないので、イタリア語で。
こんなこともあろうかと、前日寝る前に伊作文しておいたのだ。
妙なところで勤勉、それがオタクというものであろう。
調子に乗ったお姉さん、色々と教えてくださる。
一緒に捕まっていた神父バルビとのやり取りの件なんぞ、最高だった。
そんな訳で、ちょっぴり目標を達成した。
周囲の目がどんなだったかって・・・・・・そりゃ、聞かないで頂けると嬉しい。

カサノヴァ様が入っていた牢獄を過ぎた後は、控えめについてまわる。
だって、目的は果たしたんだもん。
後はどうでも、何て言ってしまうところがますますオタク。
反省。って、今頃しても、意味ないわね。
そんな訳で、残りはごくごく控えめについてまわる。
最初入った扉の前に出て、静かにツアー終了である。
それでも、予定の時間は押していた。
なのに一緒に写真を撮ってくれとせがむ日本人。なんて迷惑な・・・。
ガイドのお姉さんゴメン。

シークレットツアーの後は、通常の順路を守って宮殿内を見学する。
家人は英語を、私はイタリア語の説明をそれぞれ読みながら、
日本語のガイドブックで答えあわせをしながら見学する。
これがなかなかスリリング。
お陰で真面目にイタリア語と向き合った。
最後に牢獄葉書を数枚買う。
ぐったり疲れて、ドゥカーレ宮殿の見学を終えた。

さて、見学を終えたら、トイレに行きたくなった。
場所を聞いてトイレに行ったら長蛇の列ができていた。
何分待てばトイレにたどり着けるのやら。
間に合いそうにないんだけど・・・。
余程切羽詰った顔をしていたのか、家人は言った
「いったんホテルに戻れば」と。
そうだった、忘れていたけど、ホテルまでは徒歩1分。
素晴らしい立地条件!
順番が来るのを待つよりも、部屋に帰ったほうが確実だ。
ってな訳で、小走りで部屋に戻ったのであった。

用を足して、時計を見たら、昼を過ぎていた。
だが、腹は減ってない。どんだけ朝ご飯を食べたんだよ。
とりあえず、腹ごなしに歩くか、ということで部屋を出た。
どうせだったら、メストレに行ってみるか。
メストレとはヴェネツィアから海を渡ってすぐの隣町である。
主にヴェネツィア本土で働く人たちが住んでいるところでもあるらしい。
駅前にはヴェネツィア本土よりも安くて広いホテルが並び、庶民的という噂だ。
午後の予定は適当に散策だったので、調度いい。
まずはヴェネツィアの鉄道駅(サンタルチア駅)を目指す。

駅へ行くという目的があるにもかかわらず、途中紙屋にひっかかる私。
だって、紙好きなんだもん。
今回の旅行の裏テーマは紙屋巡りだったりするのだ。
で、前夜、駅からの帰り道、ひそかに目をつけていた紙屋に迷わず入る。
勿論、自力でたどり着けたわけではない。
かといって、偶然でもない。
ひとえに家人のお陰である。
方向音痴とそうでないものの差を見せ付けられるが、気にしない。
目的が果たせればそれでいいのだ。
店先に飾っていた皮製の豆本を買ってご満悦である。

豆本を買えた嬉しさで浮かれていたので、前夜とはルートが違うことに気が付かなかった。
急に町並みが変わる。
明らかに、ヴェネツィアにおいて、異質な雰囲気である。
圧迫感と暗さとが混在しているとでも言おうか。
穿った見方かもしれないが、広い通りもどこか寂しげだ。
町の人々の顔つきも何となく暗い。そして異国人がやたらと多い。
もしかしてゲットーを歩いているのかしら。
何も考えず陽気に歩くのが恥ずかしいような怖いよう空間である。
その空気から逃れるように、足早に駅を目指したのであった。

駅について、まっさきに地図を開く。
いや、地図を開く前に分かっていた。
やはり、世界最古のゲットーを通っていたのだ。
ヴェネツィアにおけるゲットーは欧州の他の都市とは意味合いが少し異なる。
だが、ゲットーはゲットーに違いなく、暗い影を落とす側面がある。
浮かれた観光客の私が偉そうに語る資格なんぞない。
その歴史の重さに耐え切れず、軟弱ものはその場で蓋をしたのだった。

前日と同じチケット売り場に並ぶ。
メストレ行きの切符を買うと、1枚1ユーロの一定区間の切符を渡される。
機械で刻印し、発車間際の電車に飛び乗る。
2ユーロしか払っていないのに、3枚切符があったのに気づいたのは
発車した後だった。
帰りにも使える切符だ。
ラッキーなので、そのまま頂く(悪いヤツめ)。
が、神様はちゃんと見ているものだ。

メストレのつもりで下車した駅はメストレではなかったのだ。
前日は急行に乗ったため、ヴェネツィアの次がメストレだった。
が、今日乗ったのは各駅停車。
ヴェネツィアとメストレの間にはもう一つ駅があったのだ。
やけに降りる人が少ないと思った。
というか、降りたのは我々と、スーツケースを抱えた老夫婦の4人のみである。
藁にも縋る思いで、老夫婦に話しかけてみる。
ブラジルから来た観光客で、状況は我々と一緒。
つまり、間違えて下車したため、どうしたらいいのか何も分かっていなかった。
運が悪いことに無人駅のため、情報を得られない。
途方に暮れかけていたところに、ホームに貼られた時刻表を発見する。
時刻表によれば、約30分後、3番ホームにメストレに停車する電車が来るらしい。
だが、この時刻表、色あせている。一体、いつから貼られていたのだろうか。
今も通用する時刻表なのか不安になるくらいに色あせているのだ。
不安になるが、誰も聞く人がいないのだ。信じるほかあるまい。
ブラジル人の老夫婦と共に、3番ホームで待つことにした。
30分って長いのよ。
家人が思う存分電車写真を撮れるくらい、長いのよ。
各駅停車の電車しか止まらない駅らしく、その間ドンドン電車が通過する。

もしかして、一生このまま抜け出せないんじゃ、なんて悲壮感に暮れていた頃、
一人のイタリア人青年が現れる。
「メストレに行きたいのですが、このホームでいいのですか?」と、聞いてみる。
「勿論だ」と返ってくる。
私が家人に日本語で伝え、家人が老夫婦に英語で伝える。
一同、あからさまにホッとする。
イタリア人青年は「間違えて降りたんですね」と続ける。
何故分かるんだ?!
「時々、間違って下車する人がいるんですよ」だって。
我々4人はうっかり者の時々いる人になってしまったのだった。
そして、ヴェネツィア観光における貴重な30分を無駄にしたのだった。
1ユーロの切符に喜んだ罰だわ。

電車は時刻表通り、メストレに到着した。
30分を無駄にした同士と別れ、メストレを散策。
その前に、猛烈に腹が減っている。
気が付けば、4時前だよ。腹も減るって。
美味しそうな匂いを漂わせていた、駅前のホテルチェーンのリストランテに吸い寄せられる。
バール形式で、既に料理は出来上がっている。
ガラスケースの中の料理はどれもこれも美味しそうだ。
とても、選べない。
ダメもとで「半分ずつ一皿に盛ることは可能か」と、尋ねてみる。
「勿論だとも」と、いうわけで、家人は魚と肉の盛り合わせ、それとラザーニャ、
私は野菜の煮込み、そしてパスタを注文する。
作り置きを暖めただけなのに、これがやたらとウマイ。
イタリア人、最高だ!
しかも安い!!メストレありがとう~。

だがしかし、メストレの駅前はあまり開けてない感じ。
どこで何が売っているのやら。
会計時に「この辺りにスーパーはありますか?」と質問するが、従業員は誰も知らない。
そこに、常連とおぼしき客が呼ばれる。
ビジネスマン風のおっちゃんが、代わりにスーパーの場所を教えてくれる。
「通りをまっすぐ歩いて、5分もしないうちに右手に見える。
 でも、小さいから見落とさないでね」とのこと。
おっちゃんに言われたとおりに歩く。
5分もしないうちに、スーパーの袋を下げたご婦人が、店から出てくるところを発見する。
本当に小さい。スーパーというよりはドラッグストアとコンビニを足したような店だ。
商品にいちいち突っ込みを入れつつ、店内を循環すしたのち、
スナック菓子やらアルコールやらを選ぶ。
でも、どれがうまいのか、皆目検討がつかない。
店員に「どれが美味しいですか?」と聞けば、決まりきったように「全部よ」と返される。
ちょっと捻りをきかせて「あなたはどれが好きですか?」と聞いてみたら
「私はこれが好き。ナッツがぎっしり入っていて美味しいの。新商品のこれも美味しいわよ」
と、ドンドン教えてくれるのだ。
やっぱり、甘いものは女性に聞くべしなのだ。
言われるがままに買ったのだった。

さて、私はここで、一つの実験を試みることにした。
「ウケるとは聞くけど、果たして本当かね」と、誰もがいぶかしむ、折鶴作戦である。
日本から持参した千代紙で作った折鶴をお礼代わりに渡してみたのだ。
折っていた鶴を目の前で広げて見せる。
「まあ、なんてかわいいのかしら」と素朴な賞賛の声。
おお、本当に受けている。
「差し上げます」と言うと「本当に?貰ってもいいの?」
と、店員さんはレジもそっちのけで大興奮!
そこにもう一人の店員さんもやってきて、お祭り騒ぎである。
鶴は沢山あったので、もう一人の店員さんにも渡す。
すると、何と鶴がチョコレートに化けた。
そう、レジのすぐそばにおいてあった小さなチョコレートをくれたのだ。
今度は私が感激で大興奮。折鶴って本当に受けるのね!!

ところで、どうでもいいけど、メストレ駅前寂しすぎ。
阪急の各駅停車しか停車しない駅前みたいだ。
いや、開けているところはあるかもしれないんだけど、探す気力がね・・・。
店員さんは皆、良心的だが、求めていたのとはちょっと違っていたのだ。
かつてローマで行ったような、大きなスーパーに行きたいのだ。
やっぱり、パドヴァ辺りに行かなきゃダメかしら。
しかし、今日パドヴァに行く気力ももうない。
私たちはヴェネツィアに引き返すことを決めた。

ヴェネツィアの鉄道駅から再び歩いてホテルを目指す。
大きな荷物をひとまずおきたいのだ。
家人は私の手から荷物と地図を取り上げ、スタスタと歩き出した。
地図なんて見ても無駄なのにな、と、思いつつ、喧嘩するのもバカらしいので
黙ってついていくことにした。
ところが、びっくり。
1時間後にはホテルの部屋にいたのだ。
どうやら家人は本当に地図が読めるらしい。
しかも、多分最短距離で帰ってきたと自信満々だ。凄すぎる。
ええっと、ヴェネツィアって街はだね、地図なんて本来意味をなさないものなんだけど・・・。
少なくとも私はずっとそう信じてきたんだけど・・・・・・。
ええ、ええ、薮蛇。そう信じていた私がまるで悪者だよ。
夜の散策でも、家人は地図を手に、行きたいところに自在に行く。
私はどこそこに行きたいと言うだけ。
ヴェネツィアにおいて、にわかに立場が逆転した瞬間であった。

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